先生からメールいただき、「初めて」に弱い娘ですが、それを克服してゆくためにはいろいろな経験が必要だと思っておりましたので、たとえ完走できなくても、頑張れるところまで頑張ってくれたらと、それに鈴木先生が伴走してくださるとのありがたいお話でしたので、お言葉に甘えて参加させていただきました。
娘に頑張って欲しいと思う気持ちと、6月からパーソナルプログラムでご指導いただくようになり着々と良い方向に進化しているとはいえ、最長で1キロくらいしか走ったことはなく、それもノロノロでバテバテだった娘がさすがに皇居外周5キロはきついだろうから万が一動かなくなってしまったらと・・・、先生にもご迷惑をおかけしてしまいますし・・・そんな心配がありました。
娘は自閉症ゆえ、見通しを持つことが苦手なせいか、当日朝、「今日は何周ですか?」と私に尋ねてきました。「2周だよ」と明るく返事をしたわけですが、正直、1周だって大変でしょうに、先生より目標2周とお聞きしておりましたのでそう返事をしたのですが・・・なんか娘に申し訳ないような後ろめたいような複雑な気持ちでした。娘は1周って学校の校庭の200メートルトラックか、パーソナルプログラムで走る交流センターの外周を想像して「2周だら」と思っているのがわかりますので。早々に朝食をとっていざ出陣!電車大好き娘ゆえ、初めて乗る有楽町線で停車駅の一覧表をみたり、おまけに座れたしで気分は上々で集合場所最寄の桜田門駅に到着。鈴木先生はじめ皆様にご挨拶して、スタート!
「頑張って〜」と笑顔で見送ったものの、内心は「動けません」って携帯電話がかかってくることを怖れてドキドキでした。待っている間、走ってくるだろう方向を気にしながら、ご一緒させていただいたYさんからいろいろなお話を伺うことができ大変ありがたいことでした。主人とはパトロールしている警視庁の車両をみて、娘が倒れたらあれに乗せて助けてもらえるかしらなんて話をしたり・・・。
Nちゃんが1周してこられて、2周目にいかれてしばらくして娘の姿をみつけたときはただただホッとしました。ゆっくりながらも走っていましたし!娘がここ最近はまっているプリウスを探しながらのランニング、娘をよく理解してくださっている先生のご指導あってこそです。飲み物をとって、先生のお元気な掛け声で2周目に挑戦!1周45分くらいかかって5キロを完走できたので、充分頑張ったと思っている私はおしまいかなと思ったのですが・・・先生は当初の目標どおりあっさり2周目に娘をリードしてスタートしていかれました。大丈夫かしら〜と1周目の不安の倍の不安で見送りました。1周目と同じくらいの時間(45分位)でしょうか、2周めを走り続けて戻ってきた姿には感動しました。「プリウスを42台みつけました」と私に報告してくれた娘。凄いです。わたしにはとてもできないことをできるまでにいつのまにか成長してくれました。私が低いハードルであるせいもありますが、子供に越されることって嬉しいことなんですね。子供にはまだまだ越されたくないと思っていたのですが、いざ越されてみると嬉しくて!!!他のこともどんどん越していって欲しいと心から思います。自分にできないことをしている方には賞賛しますよね。だから、娘に対しても素晴らしいって素直に賞賛しました。
今回、動き続けることが苦手で、それをテーマにご指導いただいているような娘を10キロ完走なんて凄い結果を残せるように導いてくださった先生に心から感謝いたしております。先生が伴走してくださったので娘は安心して走ることができたのだと確信しております。本当にありがとうございました。
帰りですが、私だったら倒れているだろうと思うのですが、娘は不思議と元気で、有楽町線にまた乗りたくて、そそくさと桜田門駅へ行き、池袋で昼食。まあまあ食べる食べる!パスタの大盛りにピザ、サラダ(2〜3人分)にドリンク2杯・・・しかも凄いスピード、驚きました。お店の方も周囲の方もチラチラみてしまう迫力の食欲でした。
夜、お風呂に入るとき、左足の薬指に小さいマメができていることを発見しました。そのマメが勲章にみえました。思わず「このマメは金メダルだね」と娘に言うと、怪訝そうな顔で「わたしはマメより本物の金メダルが好きです」って言っておりました(^^;
その後ですが、今学校の体育で鉄棒をしております。もちろん娘は苦手で、逆上がりができません。ただ、以前と違うのは私に「練習したらできますか?」と尋ねてくれたことです。
私は、娘に、出来ないまま(楽チン)より出来る(苦しい練習、努力)を自ら選択できる人になって欲しいと思っています。私自身の目標でもあり、決してたやすいことではありません。だから、娘の問いかけが凄く嬉しく尊いことにおもえます。娘は今回の達成感からか、もしかしたらわたしにもできるかな、と思えるようになってくれたのかもしれません。そんな娘を応援し、何とか逆上がりを出来るようにしたいと考えております。
自閉症関係の講演会で、大学の教授さんが障害を持った子の運動の効果についてお話をされていたのをお聞きしたことがあるのですが、今の娘をみて思い出しました。様々な問題を抱えている子供にとっては運動をとおして学んでもらうことが一番わかりやすいというような内容だったと思います。最近、集中力、忍耐力、積極性といったことに進化がみられると感じています。子供はひとつのことからいろんなことを学ぶパワーがあるんだなと感心してしまいます。羨ましいです。ただ、運動の効果を最大限に生かすためには、適切な指導の必要性も感じました。今、娘が運動をとおしていろいろなことを学べているのは、鈴木先生のようなプロフェッショナルの方のご指導あってこそです。
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